実家の床の間、押し入れの奥。鮭をくわえた木彫りの熊、ありませんか。
昭和の家庭にはよくあった、旅のおみやげの木彫り熊。捨てるには忍びないけれど、飾る場所もない。そんな「行き場のない熊」を供養して森へ還すという、全国でもちょっと聞いたことのないイベントが、富津で開かれます。
主催は富津市富津の葬儀社・かじや本店株式会社。2026年9月3日(木)、「くまさん、森にかえってね」木彫りの熊 供養式です。
9月3日=903=「くまさんの日」
まず日付が良いですね。9月3日で「くまさん」。語呂合わせですが、こういう覚えやすさは大事だと思います。
きっかけは、今年4月に同社が開いた人形供養式でした。800体以上の人形やぬいぐるみが集まるなか、「木彫りの熊も供養できますか?」という問い合わせが複数あったそうです。その声に応える形で企画されたのが、今回の木彫り熊に特化した供養式。
葬儀社が「見送る」ことのプロとして、家族の暮らしを長く見守ってきた木彫り熊を送り出す。合言葉は「くまさん、森にかえってね」。供養のあと、木製の熊はチップ化して森へ還す予定だそうです。ただの処分でも回収でもない、というところに主催者の想いを感じます。
「熊のいない千葉」だからこそ
ここが個人的にいちばん面白いと思ったポイントです。
千葉県には野生の熊が生息していないとされています。全国で熊の出没や人身被害の報道が続くなか、その「熊なし県」の富津に、全国の家庭で眠っていた熊が集まってくる。なんだか不思議で、少し可笑しくて、でも考えさせられる構図です。
熊による被害は深刻な問題です。一方で熊もまた森に生きる存在で、人と自然がどんな距離を保つのか、いま問われています。木彫りの熊を通してそれを考えてみる、という切り口はなかなか他にないのではないでしょうか。
郵送不可。だから富津に来てほしい
もうひとつ注目したいのが、受け入れは会館への持参のみ、郵送不可という条件です。
一見ハードルが高いようですが、これは意図的なもの。木彫り熊を届けにいくことをきっかけに、その前後で富津の海や山、食べもの、歴史に触れてもらう。「思い出の品を見送る旅」として、富津を訪れる理由をつくりたい——そんな狙いが込められています。
富津をPRする立場としては、こういう「来る理由」のつくり方はとてもありがたい。ぜひ全国のくまさんに集まってほしいところです。
開催概要
名称:「くまさん 森にかえってね」木彫りの熊 供養式
開催日:2026年9月3日(木)開式11:00〜
会場:和葬空間かじや(千葉県富津市富津552-1)
供養料:1体 500円
受付期間:2026年7月3日(金)〜9月2日(水)10:00〜16:00
受付方法:会館へ直接持参(郵送不可)。お越しの前に必ず電話連絡を(TEL:0439-87-4911)
対象:木製の熊の置物のみ(陶器・プラスチック・布製は対象外/3辺300cmまで)
主催:かじや本店株式会社
受付はすでに始まっていて、9月2日まで。詳しい条件や最新情報は、かじや本店の公式ページをご確認ください。
「手描きの熊コンテスト」
この木彫りの熊 供養式に合わせた特別規格として、「手描きの熊コンテスト」の作品も募集されています。
思い思いの熊の絵を用紙に書いていただいてかじやさんにお持ちいただく形になるそうです。木彫りの熊はよく分からないというお子さんでも気軽に参加できそうな楽しい企画ですね。
夏休みの思い出にちょっと絵を描いて参加してみては?富津の名産がもらえるかもしれませんよ〜。
せっかくなので、寄り道も
富津まで足を運ぶなら、日帰りで帰ってしまうのはもったいない。海沿いの景色を眺めたり、地元でとれたものを食べたり、静かな寺社を歩いてみたり。富津には、そういうゆっくりした時間の使い方が似合う場所がたくさんあります。
木彫りの熊を見送ったあとに、富津の海を見て帰る。そんな一日、なかなか良さそうだと思いませんか。







