富津っ子

千葉県富津市の魅力を再発見・WEBの力で便利に楽しく!

富津社会見学

富津「剥き子」さんのバカガイ加工技術と、どれも美味しい青柳メニュー/礒崎水産

投稿日:2015年5月13日 更新日:

海苔やアサリなど海産物が有名な富津ですが、バカガイも地元の人には馴染み深いのではないでしょうか?

バカガイの貝殻を剥き、食用に加工したものを青柳(アオヤギ)と呼びますが、江戸前寿司では欠かせないネタとして親しまれていますね。なんと富津は、近くは木更津、遠くは愛知・三重・北海道からのバカガイの一大集積地で、修練された技術でその加工を一手に引き受けています。

かつて3000人いたと言われている「剥き子(むきこ)」と呼ばれる作業者の数はどんどん減ってきているようですが、富津で加工ができなければ江戸前寿司で青柳が食べられなくなると言われるほど貴重な事業なのです。全国を代表するような産業を見ないわけにはいかないと富津っ子取材班は富津市富津の礒崎水産さんにご協力いただき加工場をみせていただけることになりました。

20150502_isozaki_01

礒崎水産 加工場見学

富津小学校のすぐ隣に礒崎水産があります。

20150502_isozaki_04
中に入ると早速「剥き子」のお母さん達が作業されていました。

20150502_isozaki_02
もくもくと作業されています。

20150502_isozaki_03
今回ご案内いただいた礒崎水産の代表・礒崎寛さんに基本的な剥き方をお聞きしました。

20150502_isozaki_05

20150502_isozaki_05a
バカガイを上からみると三角形になっていますが二等辺ではなく、長い辺と短い辺があります

20150502_isozaki_05b
この長い辺の方に口があるようで、こちらから包丁を入れると開きやすいそうです。貝を開いたら殻を取ってしまう人とそのまま進める人がいるとか。

20150502_isozaki_05c
身の部分を取り出します

20150502_isozaki_05d
続いて、大小2つある貝柱(通称ホシと呼ばれます)を切り離します。

「包丁」と呼ばれる貝剥き専用の刃物を使っているそうですが、アサリよりも大きなバカガイ用のものは近くの砂山金三郎商店で手に入れているとのこと。かなり珍しい形のようで剥きやすく遠くの業者が買い求めることもあるそうです。

20150502_isozaki_06
ちなみに、大きく形のよい身は殻を取り、トレーに乗せられた剥き身として市場に並ぶそうです。綺麗ですねぇ。
ほんのり赤く見えるのは、バカガイの卵だとか。
このころが身がぷっくりして一番おいしいそうですよ~

自宅でバカガイを剥く独自の配達スタイル

次にご自宅でバカガイを剥いている剥き子さんがいらっしゃると聞き連れていっていただきました。かつては加工場に剥き子さんを集めて行う方法が一般的でしたが、富津の最古参の業者の1軒が剥き子さん宅へとれたバカガイを配達し剥き終わった頃に回収する方法を始め、現在のところ剥き子さんは自宅で作業するのが一般的になったそうです。

20150502_isozaki_07
篠部地区のご自宅でバカガイ剥きの作業をしている剥き子さん

20150502_isozaki_08
普段は農業もされているそうですが、この時期になると剥き子さんも兼任です。

20150502_isozaki_09
写真撮らせてくださーいとお話しすると、「ワタシはいいよぉ〜」なんて照れているカワイイお母さん(笑)

昔は富津地域はもちろん大貫などでもまちなかでバカガイを剥く姿を見ていました。剥いたバカガイの殻を畑にまくといいなんて話もあるようですね。

20150502_isozaki_10

20150502_isozaki_11

海のすぐ近くだというので、少し景色を眺めてから加工場へ戻ります。

身から足を離して舌切へ

20150502_isozaki_12
加工場では貝剥きから次の工程へ進んでいました。

20150502_isozaki_13
先ほど貝から取り出した剥き身から、さらに身とワタの部分を取り除いて足(舌ともいいます)の部分だけを取り出します

20150502_isozaki_14
この足だけの状態を舌切と呼ぶそうですが、包丁ではなく先ほど取った貝殻を使ってこそぎ取るようにすると綺麗に取れるそうです。

20150502_isozaki_15
撮影にご協力いただいたお母さん達を記念にパチリ!
江戸前の青柳を支える職人さんです!

剥き子さんの熟練の技をビデオ撮影させていただきました!

青柳尽くしのお料理をご馳走になることに!

なんと、礒崎さんのご好意で青柳をふんだんに使った代表の奥様の手料理をご紹介していただけることになりました!

20150502_isozaki_16
並んだ料理を見てビックリ。フルコースとも思える品数です!

20150502_isozaki_17
「はしらめし」ご飯に青柳の小柱をまぜこんだものですが、プリプリとした小柱の食感がたまりません

20150502_isozaki_18
こちらは「炊き込みご飯」のおにぎり。小柱に火が入っているためよりダシがでていてご飯がうまい〜。

20150502_isozaki_19
おすすめ&一番人気という「なめさんが」舌切と味噌・ネギを一緒に叩いたものですが、しっとりとした舌触りに青柳のコリコリ感とお味噌のコクでなんとも言えない美味。どうしましょうご飯が止まらない(笑)
酒飲みにもたまらないですねコレは!

20150502_isozaki_20
お次は揚げ物2種。左が「天ぷら(磯辺揚げ)」に右が「フライ」です。青柳自体に割りとしっかりした味がするので揚げ物にしても旨味が消えません!

20150502_isozaki_21
舌切と小柱のお刺身〜。結局は生でもめちゃくちゃ旨いんです(笑)

さらに、

20150502_isozaki_22
お味噌汁!アサリの味噌汁があるくらいだから青柳だって旨いんです。良い出汁がでてて温まる〜

20150502_isozaki_23
まさかの洋食まで!ペペロンチーノ風のシンプルな味付けでもしっかり存在感を出す青柳の食感と旨味。和食に限らないんですね〜。

こんなに充実の青柳フルコース。感動しちゃいました。礒崎水産さんは加工業ですので普段お食事は出していないんですがお店できるんじゃないですか〜なんて話がでるほど!
奥様本当にありがとうございました!!!(感涙)

バカガイ加工と青柳の美味しさを発信する礒崎さん

20150502_isozaki_24
加工場の前で記念写真。

一時期の乱獲などにより富津でのバカガイの水揚げ自体がかなり減ってしまって、現在では木更津や県外産のものも多いそうです。また貝剥きの作業は生ものを扱いますし、若い人があまりやりたがらないと言いますから剥き子さんの成り手も減っているのが心配だとか。

今回取材をしてみると、長年バカガイを剥いてきたお母さん達は貝剥きが楽しいと口々に言っていましたし美味しく食べてもらえることにやりがいも感じているそうです。そして、お刺身でも、バリエーション豊富なメニューでも抜群に美味しい青柳がもっと日の目を見てもいいのでは・・・と感じました。

地元でももっと青柳をいただけるお店が増えてくれると嬉しいですね〜。

富津のアオヤギ専門業者 礒崎水産
住所: 〒293-0021 富津市富津394番地
電話: 0439-87-4460

スポット情報礒崎水産

〒293-0021 千葉県富津市富津394
0439-87-4460

-富津社会見学


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

富津からおいしさと安全を届けるパン工場、マスヤパン

内房でお馴染みの国道127号を南下すると、上総湊の入り口に老舗のパン工場があります。 ご存じ、マスヤパン。今回は、普段潜入できないこちらのパン屋さんに特別の許可を頂いて、富津っ子取材団は潜入させて頂き …

ご存知ですかー、富津ごん太郎・こころトマト!

今回は、地元の美味しいトマトとキュウリを生産している農場へ行ってきました。場所は、富津市役所のすぐ近く、内房線の車窓からもハウスが見える「富津ごん太郎トマト」さんです。 こちらの農園では、主にトマトと …

AlonAlonオーキッドガーデン富津 見学会レポート/クラウドファンディングで苗のオーナー募集中!

富津市西大和田(ちょうど富津市役所の裏にあたります)に新しく胡蝶蘭栽培を行う障害者の就労継続支援B型事業所が開所されるということで取材に行ってまいりました。 手作りという看板がいい味をだしています。

ふっつ時計

サイト内検索

広告募集
富津っ子Tシャツ好評販売中

たび旅富津 富津市観光協会の総合情報サイト

富津写真愛好家協会